【賃貸経営】サブリースに御用心!

賃貸・アパート経営

 こんにちは、ティカールです。今日も楽しく住宅・不動産の勉強をしていきましょう!

 今日のテーマは、これ!

「アパート経営をサブリース会社と距離を置こう(に任せるな!)」というテーマで話をしていきます。

そもそもサブリースって何?

「サブリース」は全く聞きなれない言葉だと思います。(普通学校で習わない言葉ですから。)コピー機のリース、自動車のリースとかとは、全く別物です。

 サブリース契約とは、アパートオーナーが、各部屋に入居者が決まるかどうかか不安な中、長期一括で私が10年間借り上げますよ、という神様みたいなことをしてくれる契約、それをしてくれる会社をサブリース会社と言います。(大手住宅会社はサブリース会社をグループ企業で保持しています。)

 サブリース会社が、一括借り上げたアパートは、エンドユーザーへ又貸しします。

 又貸しで得た家賃と、オーナーへ毎月定額で支払った家賃との差額が、サブリース会社の儲けとなります。つまりピンハネして利益を上げています。

 たとえば、月額8万円でエンドユーザーへ貸す部屋を8万円で一括借上げはしません。どのぐらいピンハネすると思いますか?5千円ぐらいならかわいい金額ですが。

 サブリース料は物件の良しあし、会社の方針によって異なりますが、仮にピンハネ率15%の時、8×(1-0.15)=6.8万円がオーナーに毎月入ります。

なぜ、サブリース契約をおすすめしないのか

 賃貸経営を実際にやってみるとよくわかりますが、賃貸住宅の最終利益というのは僅か数パーセントであることがほとんどです。動かすお金は、アパート数棟で数千万円から数億と大きいのですが、毎月の家賃収入からアパートローンを返済した後のお金が全部使えるわけではありません。

 固定資産税・火災保険、その他の経費、故障に備えたり、屋根・壁の定期的塗り替え、毎月支払う物件管理料など、いろいろ差し引くとほとんど利益が残らないことに気が付きます。

 仮に賃貸経営だけ、専業で食べて行こうとすると、手残り毎月70~100万円を得るためには7~8億の借金をしなければいけません。

 ところが、サブリース会社に支払うサブリース料は約10%~15% そこのところが、一番おいしいカニみそなのに…なんで持っていくの?という感じです。

 利益が残らない。何のために借金をしているのかわからなくなります。

賃貸は経営であることを知ろう

 賃貸は賃貸経営と言います。完全な手放し運転=自動運転の資産運用ではありません。経営には経営能力が必要ということになります。しかし、農家や資産家オーナーに営業するアパート会社は、サブリースで安心だから、建築後はお任せください。という営業トークで、アパートを建築してもらっています。そこで、建築時に数千万円の確定利益を得て、なおかつ、毎月サブリース料で儲けています。

 ちなみに、松下幸之助さんは 経営について下記の様に述べています。

 われわれは、われわれの仕事を、どれも一つの経営と考えなければならない。どのような小さな仕事も、それが一つの経営であると考えるときには、そこにいろいろ改良工夫をめぐらすべき点が発見され、したがってその仕事の上に新しい発見が生まれるものである。世間すべての人々が同じように努力しながら、成功する人はまれであるのは、今言った経営の観念に欠け、なんらの検討工夫をなさず、仕事に精を出しているにすぎないからである。

出典:人を活かす経営 P117L5-9 経営をしているか・・・それができるのが人間 昭和54年9月24日発行 PHP研究所

 アパート会社は、アパートを建築してもらった時点で、請負契約による利益確定をしている。

 またサブリース会社は、借入はオーナーがしている。毎月ピンハネして利益確定、入居者が見つからないリスクはあるが、それを見越してピンハネしているので、オーナーほとリスクを背負っていない。

つまり、この2社は経営をしています。 

 この辺のからくりを知らず、言われるままアパートを建築して、経営の根幹を人に託す、危険すぎませんか。

アパート経営はプレーヤが多すぎる(素人は絶好のカモ)

 賃貸は、衣食住の 「住」、誰もがなじみのある「家」、プレーヤーが多すぎる業界です。誰もが、感覚としてわかりやすいので、家にかかわる業者は、個人の大工さんから、地元ビルダー、大手積水・ミサワ・大和・住林・ヘーベル・ハイムなど、売上1兆円企業まで、各社入り乱れて、熾烈な競争をしている世界なのです。

 ちなみに、スカイツリークラスの超高層ビルをつくろう!というのなら、皆さんの生活に馴染はないですね。大工さんもできない、地元ビルダーも作ったことがない、地元ゼネコンはせいぜい10階建て、中堅ゼネコンも20階ぐらいしか経験がない。建築できるノウハウを持つのは、スーパーゼネコン5社のみ。(竹中、清水、大成、大林、鹿島)

 こういう業界は参入障壁が高いと言います。新規プレーヤが出にくいから安定経営が得られるのです。(もちろん5社の競争は熾烈です。)

 しかし、大手住宅会社やDT建託、これらのアパートを設計事務所に依頼すれば似たアパートがつくれてしまう。しかも安く。簡単にまねができるのがアパートなのです。

参入障壁が低いとなぜ安定しないのか

 参入障壁が低いと、仮に少し儲かると、2番手3番手がポコポコ出てくる。35年間儲け続けるのは至難の業、と考えたほうが良いでしょう。

 特に人口減少社会で、空き家が増えている中、これからアパートを建築するのは、相当鍛え上げられた不動産のプロでも、成功するかどうかわからない、そのぐらいシビアな業界なのです。

アパートVS戸建の時代が来る

 皆さん、同じ家賃で、ちょっと古めの戸建と、最新型2LDKアパート、広さは3倍違う、庭もついてる。2人家族なら2LDKもよいかもしれないが、子供が2~3人生まれたら、古めでも部屋数や庭がある一戸建てがいいと思いませんか。

設備は10年で古くなる

 最新の設備の新築物件を満室にすることは容易いですが、賃貸住宅は10年目からが本当の勝負です。(新築プレミアムと言います。当初10年間の満室は容易です。)

35年間お任せして本当に大丈夫か

 経営の根幹を大手アパートメーカーに任せるのは、その会社が神様なら35年うまくやれるだろうが、結局人間なので、本当にうまくいくかどうか、誰にもわからない。

 話を戻します。そもそも、最終利益が数パーセントなのに、サブリース会社へ10%以上払って、どうやって儲けようとしているのでしょうか?

最初の計画が甘すぎませんか

 通常の不動産投資は、土地代込みで計算します。

土地+建物+諸費用=総額

 ところが、アパート建築会社は、土地代は先祖からのモノ(仕入代金0円)で計算します。この時点で遺失利益の計算をしていない。利回りを出しても、前提が違うのに、儲かります、というのは、不動産のプロから見ておかしい。

 また、相続対策とか別の目的で数億の借金を税理士経由で建築させようとする。相続対策にもなるというのは、覚醒剤がやせるので、打ちましょう、というぐらいおかしい。本業で儲けがちょっと出るか、ほぼ出ないかなのに、相続対策になるから建築しましょう、これはいかがなものか?

 何度も言いますが、賃貸経営はプロでもミスることが時々あるほど難しい、次から次にプレーヤーが現れる過密競争の業界。十分な利ザヤが見込める、経営手腕がある人以外、業者のカモになって終わる。これが現実。

経営能力がなければアパート経営に向かない

 どこまでも、地主と資産家をにピッタリ貼りついて、利益を取る戦略がアパート業界です。しかも、会社はその都度利益確定するのでリスクは殆どありません。

 従って、サブリース会社には充分気を付ける必要があります。

 また、アパート業者の言いなりならない。土地があっても、買ったと思って遺失利益も計算(機会費用ともいう)して、利回りが取れるなら、建築する。ダメなら見送る。自分が経営者として、お客様は何を望まれているのか、設備・広さ・間取、駐車場・仕様など、本気で考えてられる人、また、建築後も価値を落とさないように、設備投資を続けられる人、この自信がないなら、参入すべきじゃない。また、相続対策は、副反応・副作用。覚醒剤と痩せる話を思い出してほしい。賃貸経営のメインで儲けが充分に出ないのに、気休めの相続対策になるから建築しましょう、はナシと思うこと。

 仮に、サブリースを利用するとしても、この辺の感覚がわからないと、業者のカモにされる、言いなり。リース料の交渉や、途中で借上げ家賃減額交渉にも対応できない。対等なビジネスパートナーというより、お世話になっている客という関係性になってしまう。

 オーナーにとって、サブリースの打ち切りというのが、一番怖いから…。

結論

 賃貸市場は、ずぶの素人がいきなり借金して建築して勝てるほど甘くない業界。そして、本気で勉強し、研究し、お客様に価値を提供し続ける意志のある人なら、建築しても良いと思うが、それでも最初から勝てるかというと、何回も失敗して、ようやく利益が上がってくる。そのぐらいシビアな業界。

 以上、参考になれば嬉しいです。

 これからも、人生に必要な家や不動産の勉強をして、良い人生をご一緒に生きていきましょう。情報発信を続けるつもりです。

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尚、参考に、国交省が注意喚起をしています。

国交省が作ったガイドライン

 国交省は令和2年にトラブルが多いのでガイドラインを作成した。(ここは読み飛ばし可)

規制の対象となる勧誘者の明確化賃貸住宅の建設請負や土地等の売買の際にマスターリース契約の締結を勧める建設業者や不動産業者、特定のサブリース業者から勧誘の依頼を受けたオーナーが「勧誘者」に該当することを明確化禁止される誇大広告・不当勧誘の明確化

誇大広告・不当勧誘として禁止される具体例を明確化[誇大広告の例] [不当勧誘の例]「家賃保証」「空室保証」などの文言に隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合にその旨及び借地借家法第32条の規定により減額されることがあることが表示されていない家賃減額リスクや、契約期間中のサブリース業者からの契約解除の可能性、借地借家法第28条の規定によりオーナーからの解約には正当事由が必要であることについて伝えず、サブリース事業のメリットのみを伝えるオーナーに説明すべき家賃減額リスク等の内容の明確化契約締結前に書面に記載して説明しなければならないリスク事項を明確化

[記載して説明すべきリスク事項]

○家賃が減額される場合があること

• 家賃の定期的な見直しがあり、見直しにより家賃が減額する場合があること

○契約期間中に解約となる場合があること

• 契約条件にかかわらず借地借家法第32条第1項に基づきサブリース業者が減額請求を行うことができること(ただし、家賃が、経済事情の変動により不相当となったとき等借地借家法上の要件を満たさない限り、減額請求はできないこと)

• オーナーは必ずその請求を受け入れなくてはならないわけではなく、変更前の家賃決定の要素とした事情を総合的に考慮した上で、協議により相当家賃額が決定されること。

• 契約期間中でも、サブリース業者から解約される場合があること

• 借地借家法第28条に基づきオーナーからの解約には正当事由が必要であること

 規制や禁止事項、家賃減額リスク・解約リスクを説明せよ、などが主な内容です。

出典:サブリース事業適正化ガイドラインの策定
~法の規制対象を事例等で明確化しました~

報道発表資料:サブリース事業適正化ガイドラインの策定 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

 

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